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シャングリラ  【サイコパスR18】

第31章 『猟犬』 Ⅰ


『流石慎也くん。あと……ちょっと気になっててね。ドローンを送り込んでるけど、今のところ何の異常も無いの。何かおかしい気がする。でも、ドローンの反応―――――正確にはドローンがオンラインで常に送信してる位置情報なんだけど、それはちゃんとこっちでキャッチできてるし、決められた範囲を巡視してる……。』
 センセーは、いかにも腑に落ちないといった声色。
「ねぇ、犯人の画像とか、ある?」
『待ってね、シュウくん。』
 ディスプレイに、1人の男のIDが映し出された。ツリ目が印象的な、面長の男だった。少し人相が悪いな、ぐらいの印象しか残らない、平凡な顔だった。
「手塚正志……、年齢27歳、男性、職業は……運送業関連。2年前にサイコ=パスが悪化して休職、その3か月後に、辞めているのか。街頭スキャナからの映像も見せてくれ。」
『それが……』
 センセーの声が、少し曇った。IDの顔写真の横に表示された街頭スキャナからの静止画像は、見るからに画像がボケていた。顔の造作はとてもじゃないが分からないし、服の色が黒、というぐらいしか判別できない。
「画像修正は?センセーなら出来るんじゃ?」
『試してみたけど、ここまで酷いと出来ないわ。他にも幾らか画像が取れてるけど、どういうわけか、こんな感じで画像がボケてるの。機械の故障なんて無いし、何らかの妨害を受けているとしか、思えないんだけど……。ただ、街頭スキャナから送られてくる画像をどうこうするなんて、そう簡単にできるものじゃないんだけど……。』
「犯人が、複数犯であるという可能性は?」
 コウちゃんの目は、鋭い光を帯びている。
『無いとは言い切れないわね。確かに、街頭スキャナには1人分の反応しか感知されなかった。でも、この状況―――――送り込んだドローンからの情報が明らかに少ない点、街頭スキャナからの画像が不鮮明な点だけを考慮したって、不審な点が多いわね。』
『街頭スキャナは、シビュラの目だ。そうそう簡単に妨害されるものではない。通信システムの不備だろう。街頭スキャナに感知された犯人はたった1人だ。複数犯だというなら、それはお前らの妄想だ。』
 ギノさんが、会話に割り込んできた。
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