第30章 業(ごう)
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…………………そんなの嫌。
私の身勝手だって分かってる。でも、せっかく、秀星くんに好きだって、言ってもらえたのに。相手は、どんな人なんだろ……?っていうか、まだ秀星くんに、他に好きな人がいるって決まったわけでもないのに、私、何をやきもきしてるんだろ……。
そんなことを考えてたら、昨夜はあんまり眠れなかった。私にしては珍しく、朝一番に色相をチェックしてみる。うん、まだ平気。いつもよりはほんの少し濁っているけど、このぐらい、問題無し。
秀星くんのこと、気になるな……って、今は仕事、仕事。余計なことはひとまず頭から追い払って、目の前にある、自分がなすべきことに集中しないと!今日は、3係での備品チェックと、監視官さんへの聞き取りの仕事が待ってるんだから。生きるためには、しっかり働いて、生活の糧を得ないと。
準備が整ったところで、静かに、深く息を吸い込んで、気合を入れる。さあ、今日も頑張らないと。頼りになる山田さんは、今日も難しい会議に出席。私ひとりでこなさなければならない仕事が、沢山あるのだから。