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シャングリラ  【サイコパスR18】

第28章 『執行官』 Ⅱ


 大丈夫?そう言いかけて、俺は自分に向けられている殺気にやっと気付く。
「縢!」
 とっつぁんも、何かに気付いたらしい。俺は咄嗟に、身を低くして急所を庇う。
「―――――っ!?」
 だが、遅かったらしい。刹那、左腕に鋭い痛み。二の腕に1発、肩に1発。痛みを堪えながら、左を―――――飛び道具が放たれたであろう方向を見る。そこには確かに、人影があった。獲物は――――――銃?ギノさんが言っていた犯人は、全員確保したはずだ。それなのに、まだいたというのか?それに、今しがた自分たちがドミネーターを向けた相手とは、明らかに雰囲気が違う。今日の犯人たちは、どう見てもシロウトというか、やり慣れていない感が丸分かりだった。だが、この薄闇の中にいる7人目は、明らかにそんな雰囲気ではない。少なくとも、俺が咄嗟に庇った急所を、この薄暗がりの中でも正確に、尚且つこの状況下で冷静に狙撃できる腕とメンタルがあるということになる。

「縢!」
 とっつぁんが叫ぶが、とっつぁんのドミネーターは、さっき投げ技を決めた時に床に落ちて、未だに床の上だ。相手が銃なら、とっつぁんが出てきても明らかに不利だ。だがおかしい。昔に使われていたらしい銃の類であるなら、発射時にもっと大きな音がするはずだが――――?いや、考えるのは後だ。
「とっつぁん、来んな!」
 俺は痛みを堪えて、闇の中の人影にドミネーターを向ける。
『犯罪係数・オーバー300・執行対象です』
―――――そりゃあ、そうだろうな。姿形こそはっきりと目視できないが、相当ヤバイ雰囲気だ。もしかしたら、そっち方面のドラッグでもキメているのかもしれない。
「―――っ!?」
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