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シャングリラ  【サイコパスR18】

第3章 涙


***

次の日、私はいつもの時間に出勤し、昨日説明された仕事の準備をするべく、書類のフォーマットや書式などを確認していた。山田さんは予定通り出張に行ってしまったけど、作業は滞りなく進んだ。今日は珍しく定時退勤できるなぁ、もうそろそろ定時だし、机の上を片付けて出ようかなぁなんて思っていた、その時。

「ねぇ、月島さん、刑事課一係の宜野座監視官から、刑事課に来てほしい、ってたった今連絡が入ったわよ?」
 他の職員から、そう言われてしまえば、私は各種デバイスを持って、刑事課に行くしかなかった。あぁ、あの難しい苗字は、ぎのざ、って読むのか。そんなことが浮かんだ。あの監視官さん、何か苦手だな~、なんて思ったけれど、これも仕事。そんなこと言ってられない。


「お久しぶりです、宜野座監視官。先日は失礼いたしました。ご挨拶が遅れましたが、改めまして管財課の月島悠里です。これから、刑事課の備品管理業務の一部を担当させていただくことになりました。よろしくお願いします。」
 深めに礼をして、顔を上げれば、かがりさんが人懐っこそうな笑顔でこちらに手を振っていた。久し振りに見たが、変わらず元気そうだった。何故か、かがりさんが座っている机の上に、怪獣のフィギュアとロボットフィギュアが複数体置いてあったことは、気にしないでおこう。ちなみに今日は、前にいたポニーテールの女性の姿はなかった。
「早速だが、トレーニングルームに来てくれ。」
「分かりました。」
「あー!俺も行くー!」
 何故か、かがりさんもついてきた。宜野座監視官は、かがりくんの方を見ることもせずに、足早にトレーニングルームへと行ってしまった。私も慌てて宜野座監視官についていく。さらにその後ろを、かがさんが少し間を開けて歩いている、という不思議な光景。
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