第25章 クリスマス・イヴの憂鬱
「……ふ、悠里ちゃんさぁ、あんまりそうやってオトコを煽ってっと、あとで痛いメみるかもよ?」
秀星くんの瞳に映る光が、キラリと光った。
「う……、それはちょっと、困るかも……。」
なんて、半分本当で、半分はもう嘘になってきてる。今だって、嘘の中には、秀星くんに触ってもらえるなら、少しぐらい痛いメみたって、それだって嬉しいんじゃないかって、思ってしまう自分がいるから。痛いメみて困るのは、痛いのが嫌なんじゃなくて、秀星くんに触れられて痛むものがあるのなら、それさえもクセになりそうで、困るっていうだけ。あのね、もうね、いい。私は、自覚してしまっている。秀星くんに、「最後」までしてもらいたい、って。もう、私、えっちなんだ。普段は全然なのに、秀星くんのことになると、途端にえっちになるんだ。自分でも止められない自分がいることを、明確に自覚している。
「冗談だって。さ、座ってケーキ食べて!」
秀星くんは、そう言って自分も再びケーキを食べ始めた。……、できるのなら、冗談にしないで。でも、それこそ言えない。秀星くんの気持ちもハッキリとは分からないのに、言えない。
秀星くんが作ってくれたケーキの味は、相変わらず優しかった。