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シャングリラ  【サイコパスR18】

第3章 涙


「最近新しく入ってきたばかりの月島さんにこんなことを頼むのはとても狡いって分かってるつもりだよ。でも、僕と一緒に、この仕事、やってくれないかな……?もちろん、今までやってもらってた仕事はできるだけ他の職員に分配するし、ちょっと手伝ってくれるだけでいいから!」
 そう言って、山田さんは私に頭を下げて、両手を合わせて拝むようなポーズを取った。私は、頼みごとの内容よりも、超エリートで人望も厚い山田さんが、私にそこまで頼んでいるということに対してギョッとしてしまった。
「そんな、山田さん!やめてください!それに、私でよろしければ、どうか刑事課についていかせてください。」
 山田さんは勢いよく立ち上がり、私の両手をぎゅっと握り、「ありがとう、ありがとう!」と大きな声で繰り返した。ほかの人にもこんな風に話をしても、難色を示されたのだろうということぐらい、簡単に想像できた。それにしても、今まで生きてきて、これ程までに他人に感謝されることは無かったかもしれない。

 山田さんは、私の気が変わらないうちにと思ったのか、持ってきたデバイスを駆使しながら、分かりやすく業務説明をしてくれた。業務内容自体は、さほど難しいものではなかった。簡単にまとめると、定期的に、または監視官からの要請があった時に刑事課のフロアに足を運ぶ。そこで物品の使用状況を、山田さんや私といった管財課職員の目でも確認し、破損や不具合があればその理由や原因を調べ、管財課に持ち帰る資料を作成するとのことだった。その過程で、監視官だけではなく、執行官とも関わる可能性があるとのことだ。
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