第24章 ゲーム・パニック Ⅲ
***
「悠里ちゃ~ん、お待たせ~……って、えぇ!!??悠里ちゃん!!?どしたのっ!!??」
悠里ちゃんは、うつ伏せになって床に倒れていた。椅子から落ちて、頭でも打ったのだろうか。俺の全身から、血の気が引いていくのを感じた。俺は、夢中になって悠里ちゃんを抱き起こす。悠里ちゃんを抱き起してから、倒れている人間をむやみに動かしてはいけないことに気付いたが、もう遅い気もした。兎に角、悠里ちゃんに声を掛ける。意識があれば一安心だ。
「悠里ちゃん!悠里ちゃん!?」
「……っ……、秀星くん……?」
案外、すぐに目を覚ました。俺のこともすぐに分かったあたり、そんなに大層なことも無さそうで、一安心。
「良かった……。椅子から落ちたの?大丈夫?」
俺は、腕の中の悠里ちゃんに声を掛ける。
「ん……。うん、そうみたい。でも別に痛くないし、平気。秀星くん……、はっ!?」
悠里ちゃんの顔が、みるみるうちに青ざめていく。
「どしたの?何?怖い夢でも見たの?」
悠里ちゃんの反応に安堵した俺は、からかうようにして、悠里ちゃんに話しかけた。……わずか数十秒後の自らの運命も知らずに。
「ゲ……、……」
ふらりと立ち上がって口を動かした悠里ちゃんだけど、悠里ちゃんの口から零れた音はたった一つだけ。
「ゲ?」
「ゲー、ム……。」
悠里ちゃんは俯いて、暗い表情で呟くのみ。
「ゲーム?ゲームがどしたの?あー……、やっぱし、悠里ちゃんは、ああいうゲーム気に入らなかったか。」
まぁ、格ゲーは万人受けするジャンルじゃない。今回は俺のセレクトが悪かったかもしれない。床に転がっていた携帯型ゲーム機をひょいと手に取って、適当なボタンを押す。作動していたスリープモードが解除されて、液晶ディスプレイに映ったのは…………
「―――――――ゲッ!!?」