第22章 ゲーム・パニック Ⅰ
『はぁ……、はぁ……、やぁ……っ』
何の役にも立たなかったリリアは、相変わらずの半裸で、地面に横たわっていた。何故かスライムとツタは消えていた。
『リリア、大丈夫!?』
『ん……、だめ……。』
リリアはそれだけ言うと、ぐったりとしてしまった。自分の足では歩けないらしい。カオルくんは、優しいようで、リリアをお姫様抱っこして、次の町の宿屋まで連れて行った上に、医者を呼んでいた。本当に世話のかかる女だな!―――――あ、でも、私も秀星くんにとったら、世話ばかりかかる、面倒くさい子なのかな……。私、秀星くんに何ひとつできてないし、いつも貰ってばっかり。今日だって、秀星くんが働いて手に入れた貴重な食料を、秀星くんの労力で形にしていて、私は食べるだけ。遊んで待ってるだけ。リリアはなんかムカつくけど、このリリアは、可愛らしいだけまだマシかもしれない。私は、このリリアみたいに可愛らしく素直に振る舞うこともできないし、素直に甘えることもできない。容姿だって、自慢できるほどでもない。……。……何だか、切なくなってきたな。こういうキャラクターって、総じて女性から嫌われがちだし、私も嫌いだけど、女性側から見れば、そういう自分の可愛くない、不器用な部分を見せつけられるからこそ、女性から嫌われるのかな。丁度、自分に無いモノを持っているのを見せつけられるみたいで。
私が妙な感傷に浸っている間にも、ストーリーは進んでいった。リリアを診察した医者によれば、リリアは魔獣の毒攻撃にやられて、危険な状態とのことだ。物語では、実によくある、オーソドックスな展開。治療方法は、先程の怪物が落としたアイテムが必要という、これまた古典的な展開。ありきたりな展開だな~と思っていると、私に不意打ちが来た。
『……というわけで、彼女の魔法力を取り戻すには、性行為が必要不可欠なのです。この手順書通りに、事を行ってください。期限は明日の朝までです。それを過ぎると手遅れと思ってください。』