第22章 ゲーム・パニック Ⅰ
どうやら、このゲームは、魔法使いが出てくるようなファンタジーなものらしい。それも、戦いの要素が入っている模様。それにしては、リリアは軽装過ぎる。これなら、私が普段仕事で身に着けている物の方が、まだ防御力がありそうな気がする。それに、あんなに長いネックレスなんて身に着けていたら、動きづらいし邪魔だと思う。まぁでもそこは、ゲームなんだし、流すべきところなんだろうけど。
場面が切り替わって、リリアは、杖を構えて、魔法陣を展開させる。桃色の光と風がリリアを包んで、何故かスカートが捲れ上がって、これまた桃色のパンツがチラリと見えた。え?何?秀星くんはこういうのが好きなの?狡噛さんも、秀星くんのこんなゲームに付き合ってあげるほどに、こういう趣味があったんだ……?ふぅーん……。人って、見かけに依らないものなんだな……。
『カオルくん!反応、近いよ!すぐ近くに……きゃあっ!?』
リリアは叫んだ。……確かに、この声優さんの演技は上手かもしれない。リリアのぶりっ子なイメージもよく表現されている。演技だって分かってるのに、イライラする。あ、いや、声優さんの評価が高いのも、頷ける。
『どうした、リリア―――――!?』
正直、リリアよりもカオルくんの声の方が聴いてみたい気もする。――――秀星くんの方が絶対イイ声だけど。
次の瞬間ゲーム画面がブラックアウトした。何の演出だろう。
『ひゃ――――――!あたし、っふ、――――――、やめてぇ……っ!』
敵に奇襲されたのだろうか。
『!?どこだ、リリア―――――!?』
画面は黒いまま、リリアの声と息遣いがヘッドホンに届き、文字ウィンドウには2人のセリフだけが表示される。
『どこだ、リリア!?』
『……、あンっ、ひゃあんっ、っく……!カオル、くん……、う、うえ……、ひぅん!?そこ、苛めな……いでぇ……、ぐすっ……』
……。ちょっと待て。このゲーム、一体どこに向かってるんだ?