第22章 ゲーム・パニック Ⅰ
「……どしたの?」
「いや、コレ。」
手渡されたのは、ヘッドホン。
「……?」
これをつけて、ゲームをするのだろうか。
「そのゲーム、実は結構評価高くてさ。BGMとかSEだけじゃなくて、声優の演技も凄いって有名なんだよね。ヘッドホン付けた方が、絶対に臨場感出るから、おススメ。」
軽い口調の割に、秀星くんの目は本気だった。ゲーマーとして、ゲームを最大限に味わうための工夫の一つなのだろうか。正直、私はそこまでゲームにこだわろうとは思ってなかったけど、秀星くんがそこまで言ってくれてるのだから、素直にその通りにやってみることにした。
「あと、セーブデータは、1番上のやつロードしてくれればOK。」
秀星くんは、最後にそれだけを言うと、再びキッチンへと向かって、あとは「料理」の音だけが微かに私の耳に届くのみだった。