第19章 バースデー・サービス 前編
気が付いたら、私は無意識に、秀星くんの腕に手を伸ばしていた。服の上から、秀星くんに触れる。秀星くんの温かな体温が、私の手の平に伝わって、その熱が私の中で広がって、胸の奥を熱っぽくさせた。ねぇ、秀星くん、私に触れて。
「悠里ちゃん?」
「ううん、どういたしまして。……秀星くん、あったかいね。」
秀星くん、大好き。そんな気持ちを込めて、言葉を紡ぐ。おめでとう、ありがとう、大好き―――――そんな気持ちが、ほんの少しでも、秀星くんに伝われば、それでいい。
「悠里ちゃん、寒いの?今日はなんかくっついてくるじゃん?」
言いながら、秀星くんは私の頭を撫でた。
「ん……、嫌?」
私が秀星くんを見ると、秀星くんと目が合った。
「嫌なワケないじゃん。悠里ちゃんなら大歓迎。……何なら、もっとくっつく?」
秀星くんが、悪戯っぽく私に視線を投げかけてきた。
「うん……。」
返事をしながら、隣に座る秀星くんの手を、ぎゅっと握ってみた。
「なんか、今日は積極的じゃん?俺の誕生日だからって、サービスしてくれんの?」
秀星くんは、からかうように笑っている。
「サービス?」
「……あ、いや、言ってみただけだって。気にしなくていいから!」
軽い口調。でも、もしかしたら、何か私にできること、あるのかな。何ができるか分からないけど、秀星くんが何かしてほしいなら、してみたい。