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シャングリラ  【サイコパスR18】

第19章 バースデー・サービス 前編


 秀星くんは、嬉しそうにして、両手で瓶を持ってくれている。金箔に気付いたのか、瓶を両手で持ち上げて、瓶底を照明に向けて軽く振った。
「何コレ?何か金色のモンが入ってるけど?」
「それは、金箔って言って、体の中に入っても平気なんだって。私も詳しくは知らないけど、昔、おめでたい時に飲むお酒には、金箔が入っていることが結構あったらしいよ。」
「ふ~ん……。確かに、豪華な感じはするな。」
「うん。冷やして飲んでね。」
「ん。今度一緒に飲も!それまで、飾っとくから!」
 そう言って、秀星くんは、キッチンのカウンターに瓶を置いた。

「悠里ちゃん……、その、さ。」
「何?」
 秀星くんは、少し言いづらそうに間を置いた後、少しはにかんで。
「……、誕生日プレゼント、……、ありがと!」
 眉を下げて、笑ってくれた。
「――――――どういたしまして。」
 そんな笑顔を見たら、何も言えなくなってしまう。プレゼント、してみてよかったなぁ。私の心が、じんわりとあったかくなってくる。
「秀星くん。」
 堪らなくなって、秀星くんの手をきゅっと握る。
「ん?」
 私はそのまま。秀星くんの頬に不意打ちで唇を押し付けた。
「――――――ちょっ!」
 秀星くんは驚いたみたい。
「だって、秀星くん、可愛いから。」
 別段機嫌を損ねる様子もなく、キッチンカウンターの中へと入っていった。
「あーもー!俺はメシの準備するから、悠里ちゃんはその辺で遊んでて!」
 いつもよりも幼い声のトーン。拗ねたような声が可愛らしくって、思わず吹き出したら、秀星くんに軽く睨まれた。ほんのり赤く色づいた顔で睨まれたって、全然怖くない。むしろ、その可愛らしさが増したようなもので。でも、反撃を考慮すると、この辺りが引き際なのかな。大人しく、秀星くんの言う通り待っていよう。――――本当は、少しぐらい反撃されたって、嬉しいぐらいだけど、そんなことは本人を目の前にして言えない。私、本当は秀星くんに言われた通り、えっちなのかもしれない。これも、秀星くんを目の前にしては、到底言えないけど。



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