第18章 誕生日
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夜、家に帰ってから、秀星くんにメールを送ってみた。久し振りだからかな、なんだか緊張する。
『秀星くんへ
お久しぶり。元気にやってる?
今日、唐之杜先生から、秀星くんがもうすぐお誕生日だって聞いて、何かお祝い出来たらな~って思ってます。
もし、都合がつけば、連絡くれたら嬉しいな。』
~~♪~~♪
「ぅわぁ!?」
メールを送って数分後、端末の着信音が鳴った。発信元には、「縢秀星」の名前が。しかも、メールの着信音じゃなくて、通話の方だった。あまりにビックリして、声を出してしまった。軽く一呼吸おいてから応答する。
『こんばんは、悠里ちゃん。今、平気?』
穏やかな、秀星くんの声。久し振りに聞いて、胸が落ち着く。
「うん、大丈夫。今、家だから。」
『ん。……メール見たよ。何?俺の誕生日、祝ってくれんの?』
「うん。何か、できたらな~って。何か、欲しいものとか、ある?」
『ん~……。……特に無いけど、何かくれんの?』
「え……。えっと……。」
秀星くんのリクエストに近いものを、と思ってたのに、逆に訊き返されて、焦る。いいアイディアなんて、何ひとつ持ち合わせてないのに!
『あ、じゃあさ、こうしよ。悠里ちゃんはいつも通り、俺の部屋来てよ。』
「え……?」
『ね?』
秀星くんの声は弾んでいた。そんなのでいいんだろうか。
「そんなので、いいの?」
『「そんなの」じゃねーの!あ、でも12月2日も12月3日も、俺は第一当直だから、そんなに早くは帰れねーし、……2日も3日も、平日だしな。悠里ちゃんも普通に仕事、だよね?』
「うん。」
『んじゃ、その日泊まってく?2日の夜から!晩飯と朝飯付きで!』
「え……。」
私の脳裏には、ざっと1週間前の、秀星くんの色っぽい姿が映し出されていた。相手との通話中に、私は何を思い浮かべてるんだろう……。これは音声のみの通話モードだから、相手から顔が見えないのが救い。
『何ナニ?悠里ちゃん、ナニ考えてんの?』
秀星くんのからかうような声。秀星くん、間違いなく面白がってる……!っていうか、秀星くん、鋭すぎるよ!なんで、声だけでそんなに分かるの……。
「何でもない!おやすみなさい!」
慌てて接続を切ろうとした、その時。
『俺、楽しみにしてんね。』
「あ……。」