• テキストサイズ

シャングリラ  【サイコパスR18】

第18章 誕生日


「う~ん……。だって、秀星くんと私、そういう言葉を使って、お互いの関係を確認したわけでも、何でもないですし……。」
「でも、まさか何もないわけじゃないでしょう。何?指ぐらい挿れられた?」
「ちょっ……、ないですよ!」
 この人、何の分析官!?ここはいつから取調室になってるの!?
「あ、そこまでイってないのね。」
「………。」
 今のは、カマだったのか。私は、見事に引っかかったということか……。
「シュウくん、貴女のこと随分と大事にしてるのね。」
 先生は目を細めて、私を見た。柔らかい微笑み。きっと、この微笑みは、秀星くんにも向けられているような気がして、それが嬉しかった。
「悠里ちゃん、貴女は、シュウくんのこと、どう思ってるの?」
 優しい声。その声に包まれるような心地がした。
「実はまだ、よく分からない部分もあるんですけど……。」
「うん。」
「最初は、どう接していいか、全然分からなくて、秀星くんに嫌な思いもさせて。でも、その中でも、秀星くんが笑ってるのが、印象深くて。秀星くんは、笑ってる方が、いいなぁって。それに、秀星くんと一緒にいるの、心地良いんです。」
 全然、上手に説明できなくて、私の言葉はたどたどしいものになってしまった。それでも、先生は黙って耳を傾けてくれた。
「でも、恋人とか以前に、秀星くんが、本当は私のこと、どう思ってるんだろうなぁ、って。秀星くん、私と一緒にいるとき、すごく辛そうにしているときがあるんです。本人に理由を尋ねたことは無いですけど、私にも原因があるんだろうなぁって、考えてしまいます。」
 これは、私の本音だった。言いようのない気分に襲われて、分析室は静寂に包まれる。
「シュウくんは、間違いなく貴女が好きよ。」
 その静寂を破ったのは、先生だった。
「せん、せい……?」
「これは私の憶測だけど、いい?」
 私は、返事の代わりに真っ直ぐに先生を見て、こくりと頷いた。
「多分、シュウくんは悩んでるんだと思う。だって、どうやったって、どう繕(つくろ)っても、貴女を―――悠里ちゃんを深く、傷付けてしまうことになるんだもの。」
/ 591ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp