第16章 官能クライシス Ⅱ
「……、はぁ……、っ、きゃ――――あんっ、……ご、ほう、……び?」
何?ご褒美……この状況で言われても、絶対えっちなやつ……、だよね?もしかしたら、「最後」まで、ってこと……?私、秀星くんならいい。初めてのえっちは、秀星くんとがいい。秀星くんじゃなきゃイヤ。でも、まだそこまでの勇気がない意気地なしな私。
秀星くんは、そんな私の微妙な空気を感じ取ってくれたのか、頬にキスをくれた。
「別に、最後まではシないって。……ね、胸にもキスして、いい?」
「あ……」
秀星くんは、ふわりと微笑んでくれた。その眼が優しくて、胸が切なくなる。ねぇ、キスして。
「うん。」
私の返事と同時に、秀星くんは私の胸にキスを落とした。普段他人から触られない場所に触れられるだけじゃなくて、こうやってキスされるのは、秀星くんが私にとって特別な存在だからのように思えるから、それが嬉しくて仕方ない。私の胸に顔を埋めている秀星くんの頭を撫でたら、秀星くんは私の目を見てくれた。
「ん?」
秀星くんの顔は赤かった。積極的な行為とは裏腹に、恥ずかしいのかもしれない。
「ううん。何でもない。」
何でもない。本当に、ただ嬉しいだけ。
「――――――きゃ、あっ――――――――!?」
思わず、躰が跳ねた。秀星くんが、私の胸の、敏感なところにキスしたのだ。
「あ――――――――!だ、だ……、めぇ……っ……」
秀星くんは、ふっと笑ったかと思うと、唇で、その先端を挟んできた。
「ぁ―――、きゃ、ぁ……んっ!?」
手で触られた時とは比べ物にならないほどの快感。私の両手は、秀星くんの背中を、思いっきり掴んだ。正確には、秀星くんの着ている服を思いっ切り握っただけだけど、とにかく何かにつかまらなければ、耐えられないほどに、甘美な衝撃。躰が火照る。
「なに?悠里ちゃん。悠里ちゃんは胸……弱いの?」
「ぁ……!そ、な……、しゃべ……ちゃ……!」
秀星くんは、唇を私の敏感なところに触れさせたままで言葉を紡いだ。もう、ダメ。ちょっと唇が当たっただけで、感じてしまう。ダメなのに、もっとしてって思う私は、秀星くんの言った通り、えっちなのかもしれない。