第16章 官能クライシス Ⅱ
「ね、悠里ちゃん。」
秀星くんは、再び私の耳元で囁くようにして話し始めた。秀星くんの人差し指が、私の口元に近づいてくる。そして、ゆるゆると口の周りをなぞるようにして触ってきた。
「ん……。」
私は、秀星くんの人差し指を、第一関節まで口に含んだ。秀星くんは、特に自分から指を動かそうともしなかった。私が秀星くんの指を軽く歯で挟んで、指先を舌でするりと舐めたら、秀星くんの指が、一瞬だけ、ピクリと動いた。でも、特に何も言わなかった。あんまり、気持ちよくないのかな。こういうのって。
今度は、もう少し奥まで口内に含んで、軽く吸ってみる。
「――――っ……!」
ん?今、ビクってなった?秀星くん、反応してくれた?
私はついつい嬉しくなって、続けて秀星くんの指の腹を舐めた。少し水音が漏れたけど、気にしない。
「……ぁ……!」
顔は見えないけど、秀星くんが切ない声を上げた。それが嬉しくて、一旦秀星くんの指から口を離し、今度は舌だけで指に触れる。
「ちょ、悠里ちゃん……!?」
秀星くんの声は上ずっていた。秀星くんの声に返事もしないで、私は秀星くんの指を可愛がっていた。
――――ぺちゃ、ぴちゃ、と厭らしい音が響く。時々舌を離して、指先にキスをすれば、秀星くんもそれに合わせて、熱っぽい吐息を漏らした。その吐息が、私の耳元にかかって、私もぞわりとした。
――――ぴちゃ、ちゅぷっ
私は、秀星くんの手に自分の手を添えて、指を舐めつづけた。秀星くんが漏らす声が聞きたくて、恥ずかしいのも忘れて、夢中になって。それに、秀星くんの熱っぽい吐息が私の耳にかかるのだって、どんどん気持ちよくなってくる。
ねぇ、もっと、もっと声を聞かせて――――――なんて思ったのも束の間。秀星くんは、私の口から指をひっこめた。
「あ……」
指を引き抜かれて、私は一気に物足りなくなってしまった。秀星くんは、私を仰向けに寝かせ直して、上半身に纏っていた服を一気に捲り上げた。
「きゃ……!?」
外気に晒されたことと、何よりもブラジャーが秀星くんに見られたことにびっくりして、声を上げてしまった。