第16章 官能クライシス Ⅱ
横向きに寝かされて、耳に息を吹きかけられれば、今まで感じたことがないぐらいに、変な感じがして、腰のあたりがぞわぞわした。
「ひゃ―――――!?」
びっくりして声を上げたけど、秀星くんは構うことなく、耳にもキスを降らせている。ゾクゾクして、変な感じ。リップ音が、直接頭の中に届くみたいで、腰のあたりがもっと、ぞわぞわしてくる。
「秀星、くん……?」
「―――――っ、は……」
「――――ちょ!?」
秀星くんの唇が、いつの間にか舌に変わっていた。慌てて首を振って、秀星くんと目を合わせる。
「何?」
秀星くんは、むすっとした顔で私を見た。なんで私が、そんな顔で見られなきゃいけないの……。
「今、悪い子にお仕置きの真っ最中なんだけど。」
「え……?」
「だ・か・ら!悠里ちゃんがエロいから、お仕置きしてンの。」
そんな、私、秀星くんと比べたら、何もしてないに等しいはず!
「私、言うほど何もしてない、……ひゃあんっ!?」
言い終わる前に、秀星くんが服の上からお腹を撫で上げた。
「な……!?」
「ふーん……。「何も」、ねぇ……?」
「きゃ……あぁ!?」
秀星くんは、私が着ていた服をお腹が見えるまで捲りあげて、腰の辺りを触ってきた。触れるか触れないかの厭らしい触り方に、思わず身震いがした。
「俺の指を美味しそうに舐めといて、「何もしてない」、ねぇ……?」
「それは、秀星くんが……!ひゃあっ!?」
それは秀星くんが、挑発してきたから反撃しただけ、という私の抗議の声は、とうとう全てを言い終えることなく、喘ぎ声に変わった。
「……あん時の俺が、どんな気持ちでいたか、悠里ちゃんは分かってんの?」
一瞬にして、私の脳内に、あの時の秀星くんの顔が蘇ってきた。秀星くんは、余裕の表情だったけど、息遣いが少しだけ荒かった。多分、表情よりは余裕がなかった、はず。
「しゅ、しゅうせい、くん……?」
秀星くんは、ほんの少しだけ息を荒くしながら、外気に晒されている私のお腹にキスをした。お腹へのキスにも、何か意味があるのかもしれないけど、もうそんなことを秀星くんに尋ねるだけの余裕はない。ぞわりぞわりとした感覚が、私の思考領域を侵(おか)しはじめていた。