第15章 官能クライシス Ⅰ
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秀星くんがシャワーを終えた後、私も使わせてもらった。今回は、簡易のお泊りセットと、予備の服も持ってきていたので、身支度を済ませ、ソファに座って、秀星くんが出してくれたミネラルウォーターを飲んでいる。でも、今日は前に敷いてくれたタオルケットも、クッションも見当たらない。
「秀星くん、タオルケットとクッション、ある?」
「あー……、それなんだけどさ。」
シャワーを浴びた後だから、整髪料が落ちた髪。ここで頭を撫でたいなんて言ったら、怒るだろうか……。
「一緒に、寝るのとか……駄目?」
「!」
秀星くんは、こちらを窺うようにして、口を開いた。ちょ、それって……。
「あ、悠里ちゃんが嫌なら、いい!ゴメン!」
「ううん。イヤじゃないよ。」
うん、嫌じゃない。秀星くんの傍にいられる。
「え……?」
秀星くんは、ポカンとしている。まさか、私がOKを出すなんて思ってなかったんだろう。
「大丈夫。私、何もしないから。」
恥ずかしさをこらえながら、冗談を言ってみる。
「ちょっ、それ、俺のセリフ……っていうか、ええっ!?悠里ちゃん、俺にナニかしようとしてたの!?」
「え……。秀星くんの頭、撫でてみたいな、とか。」
怒るかもしれないことを承知で、口にしてみた。
「……。」
「……怒った?」
「ううん。別に。んじゃ、ちょっと早いけど、ベッド行こ。」
もしかして、少し照れてる?でも、これは口にしないでおく。あまり調子に乗ると、思わぬ反撃が来るのは、学習済みだから。