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シャングリラ  【サイコパスR18】

第15章 官能クライシス Ⅰ


「―――――……」
 今、微かにだけど、秀星くんの声が聞こえた気がする。私の気のせいかもしれないけど、それでも振り返る。秀星くんは、俯いたままだった顔を上げていた。そして、唇を動かした。
「俺は、悠里ちゃんが、好き。」
 真っ直ぐに私を見つめた秀星くんの瞳はこんなにも強いのに、ほんの少し揺らいでいた。
「悠里ちゃんが、大好き……」

「―――――っ……!」
 私は、堪らなくなって、秀星くんに駆け寄った。もう、私の視界は散々に滲んでいた。両手で涙を拭っても、なんでだろう、次々と涙が溢れてきて、止まらない。

「……、さっきはゴメン。本当にゴメン!反省、してる。だから……、だから、悠里ちゃんさえ、よかったら、その……、もっかい、俺の部屋、来てくれる?」
 肝心なところで、視界がぼやけていて、秀星くんの顔がはっきり見えない。でも、秀星くんの声は震えていた。秀星くんは、私の頭にぽん、と片手を乗せながら言った。秀星くんの手の感触。なんでか分からないけど、安心する。

「ん……」
 私は、うまく言葉が出てこずに、首を縦に振った。
 秀星くんは、私の手を引いて、歩き出した。さっきはあんなにも冷たく感じた秀星くんの手は、不思議と温かく感じた。


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