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Dye D?〈番外編 横山〉

第30章 封印




マルは俺の背中を見ながら言った




丸山「吸血鬼にしてごめんね」


マルは消えそうな声で言った


横山「.....」


丸山「吸血鬼じゃなかったら、彼女と結ばれてたのに

こんな風に別れはなかったのに」


マルの目から一粒の涙がこぼれた


横山「吸血鬼じゃなかったら

あの夜にアイツと出会ってなかったし

アイツが俺の心を救おうとせんかったよ」


俺はそう言うと、マルを頭から抱きしめた



俺はマルの孤独を理解していた

マルは一人でこんな悲しい別れを繰り返してきていたのだ

闇の者というだけで忌み嫌われて

孤独を背負ってきたのだ



横山「俺は全てを思い出したが

お前の事は誰にも言わん

お前は俺の大切な家族やから」


俺に抱きしめられて泣くマルを俺は受け止めていた


丸山「う、うん....

ありがとう....」


横山「さぁ、帰ろうか? みんなの所に

アイツら俺らが遅いんで心配しとるやろうしな」


俺はマルの頭を軽く叩いて微笑んだ

マルは涙を必死で拭いて、俺に微笑み歩きだした

俺はもう一度だけ振り向いて

女の残した文字を見てから部屋を出たのだ

この部屋に女の思い出を残して





それから、俺たちはこの部屋を封印した

決して誰も入ってはいけない誰もここには入れない

俺たちの中で決めた


俺たちが強くあるために

神と通じるこの部屋を俺たちは自ら断ったのだった



俺たちは誇り高い吸血鬼だから

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