第1章 家族
二度目に生まれ変わった時のことで
記憶にあるのは 闇・喉の渇き・孤独だった。
自分が闇の仲間になったと知った時から
俺には、自分の命よりも大事な家族がいた
血の繋がりなんて関係なく
奴らを守る事を使命と捉えていた
屋敷が新しくなって、俺らは自由になり
あれだけ狭いと文句を言っていたのに
相変わらず、以前から残っている部屋に
集まって来ていた
錦戸「しっかし、腹減ったなぁ」
お腹を摩りながら、錦戸は辛そうに言う
村上「またかよ、お前三日前に喰った所やんけ」
錦戸の言葉に呆れながら言うと
すぐ横のソファに座っている丸山が笑いながら
丸山「亮ちゃんのお腹の空きぐあいは
本当に謎やね」
渋谷「それこそ、横に謎を調べてもらったら
ええんちゃうんか?」
渋谷は部屋の隅に、新しく自分用に購入された
小さめのソファーに寝そべりながら
意地悪気に言う
安田「亮は成長期ちゃうん?」
安田が真面目な顔で言うと
大倉「吸血鬼に成長期なんてあるの?」
すこし呆れた顔でクスクスと笑いながら言った
俺はその奴らを見ながら笑っていた
俺は人知れず
吸血鬼から人間になれる方法を探っていた
大切な家族を人間に戻したかったからだ
夜になると、俺は大きな屋敷を飛び回り
古い文献の載っている本を盗んでは
探っていた
しかし、どこを探しても、
俺らを人間に戻す手立ては見つからなかった
そして、いつも俺たちを襲う
激しい喉の渇きに怯えながら、
毎日を過ごしていたのだ
しかし、俺は決して諦める訳にはいかなかった
俺は一日も早くこいつらに
その渇きの恐怖から脱出させてやりたかったのだ
だから諦めずに救いの道を
ひたすら探し続けていたのだ。