• テキストサイズ

薄桜鬼~いと小さき君の為に~

第3章 瞳をあけたままで~斎藤一編~


翌朝、迎えに来た左之と不知火の前に時尾を連れて行く。

護衛と称して、総司と平助も一緒に来て居た。

「宜しく頼む。」

そう言って不知火に時尾を引き渡すと、不知火は慈しむような目で時尾を見つめた。

「お前が時尾か…。兄貴の事は本当に悪かったな。」

時尾はゆっくりと首を横に振った。

「彼奴等の遣り口には俺も辟易してるんだ。
 高杉が……
 あいつが生きていればこんな事にはならなかった筈なんだが………」

不知火は悔しそうに唇を噛んでから続ける。

「とにかくお前の事を引き受けたからには
 絶対に安全な場所まで逃がしてやるからな。
 心配すんなぁ。」

「時尾…不知火は荒っぽいが悪い奴じゃねえ。
 信用して任せても大丈夫だからな。」

左之が時尾を安心させるように言うと

「おいおい、原田……荒っぽいは余計だろ。」

不知火が笑いながら左之を睨み付けた。

「時尾……俺のせいで怖い思いさせちまってごめんな。」

平助と総司が時尾に近付く。

「いいえ。藤堂さんと市中を回れたのはとても楽しかったです。
 いつも優しくして下さってありがとうございました。」

時尾が柔らかく微笑む。

「時尾ちゃん、元気でね。
 出来れば僕の事も忘れないで。」

時尾の肩にそっと触れた総司の手に、時尾も手を重ねた。

「勿論、絶対に忘れません。
 沖田さんもお元気で……。」
/ 174ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp