第2章 輝く意味~原田左之助編~
「……了解した。」
男は守るべき物を選び取って、断腸の思いで娘の自由を捨てた。
ならば俺も操の幸せの為に、俺の輝いてた日々を惜し気無く捨てよう。
この男の為ならば、それが出来る気がした。
「あなたには嫌な思いをさせる事になって本当に申し訳無い。」
男はまた頭を下げた。
「いや…そんな事は何でもねえ。
こっちこそ余計な気遣いをさせて悪かった。」
操に嫌われる為にはどうすればいいだろうかと考えて、俺は一つの結論に達した。
「だらだら長引かせるのは趣味じゃねえ。
今夜、決着を着ける。
此処に…操を呼んでくれるか?
それから、この見世に君菊っていう俺の馴染みの芸妓が居るんだが…
そいつも手配してくれ。」
俺のやろうとしている事を男は確実に察知したようだ。
「分かりました」と頷いて、お付きの使用人に手配をするよう指示を出した。
「あんたの大事な娘を泣かせる事になるが勘弁してくれ。」
俺の言葉に男は首を振って答えた。
「いいえ。こちらこそ……
あなたには感謝してもしきれません。」
粗方の手配が済むと男は最後にもう一度頭を下げ
「事が済み次第、操は私がちゃんと連れ帰りますので、
ご心配為さらぬよう……」
と、部屋を出て行った。