第2章 輝く意味~原田左之助編~
有り難くその品を受け取ってから、俺は辺りを見回した。
「お前、一人で来たのか?」
「はい。今日は道に迷いませんでした。」
そう言って操は得意気に笑う。
「いや…だからよ、一人でうろうろすんなって昨日言ったろ?」
「あっ……」
しまったというような顔をして、頬を紅く染めた操の姿に俺は吹き出した。
「仕方ねえな。また送って行ってやるよ。」
俺がくつくつ笑いながら言うと
「いえっ……そんな訳には。本当に大丈夫ですから。」
手をぶんぶんと振って固辞する操が堪らなく可愛い。
「いいんだよ。俺が送って行きてえんだ。」
ぽんと操の頭に手を置くと、操は嬉しそうに「はい」と微笑んだ。
屯所から田島屋までのんびりと歩きながらいろんな話をした。
下らない世間話ばかりだったけど、俺は久し振りに穏やかな時間を堪能する事が出来て嬉しかった。
店に着くとまた操は頭を下げて礼を言う。
今度は俺の方が操が店に入って姿が見えなくなるまで佇んでいた。
上機嫌で屯所に戻ると操がくれた礼の菓子は平助と新八に一つ残らず食われちまっていて、俺はこいつらの意地汚さにほとほと呆れる事になる。