第5章 僕は風 君は空~沖田総司編~
翌日は雨だった。
朝から冷たい霧雨が降り続いている。
この日の有希ちゃんは少し体調が良さそうだった。
だから雨でも出掛けようとしたのかもしれない。
「じゃあ、松本先生の所に行って屯所に寄ってから戻りますね。」
「やっぱり僕も一緒に行こうか?」
心配そうな僕に
「駄目ですよ。
雨ですし、沖田さんが風邪でも引いたら大変です。」
有希ちゃんが幼子を諭すように言った。
それでも不安気な僕を安心させる為なのか、珍しく有希ちゃんの方から口付けて来る。
「大丈夫です。昼過ぎには戻りますから。
暖かくして待ってて下さいね。」
「うん。分かった。気を付けてね。」
まだ心配ではあったけど、僕は有希ちゃんを笑顔で送り出した。