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薄桜鬼~いと小さき君の為に~

第5章 僕は風 君は空~沖田総司編~


「ね……お腹、触ってもいい?」

「勿論。触って下さい。」

僕が恐る恐る帯の上からお腹に手を添えると、その手の上に有希ちゃんの手が重ねられる。

「本当は…もっとはっきりしてから
 沖田さんにお伝えしたかったんですけど…」

「僕のせいだよね。
 僕が有希ちゃんを滅茶苦茶にしちゃうから。」

「そうじゃなくて……あの………」

有希ちゃんは恥ずかしそうに口ごもる。

「何?」

「あの…暫く沖田さんに我満……してもらわないといけないので…」

真っ赤な顔をして上目遣いに僕を見上げる有希ちゃんの言っている意味を僕は理解した。

「大丈夫。我満出来るよ。こんなに幸せなんだから。
 でも……」

僕は有希ちゃんの腰に腕を回して身を屈めると、そのお腹に耳を寄せた。

「こういう風に触れるのは許してくれるよね?」

「はい。」

有希ちゃんはふふと笑って、僕の髪を優しく撫でてくれる。

とくんとくん…と響く有希ちゃんの鼓動を感じながら僕は目を閉じて言った。

「ああ……早く会いたいなぁ。男の子かな…女の子かな。
 う~ん……僕はどっちでもいいや。
 とにかく早く会いたいよ。」

「生まれるのはまだ大分先ですよ。」

「ね…有希ちゃんは?どっちがいい?」

「私は男の子がいいです。
 ……沖田さんに良く似た男の子。」

「……有希ちゃん。」

僕は堪らずまた有希ちゃんを抱き締めた。

「ありがとう、有希ちゃん。本当にありがとう。」

「こちらこそ。
 ありがとうございます……沖田さん。」

そうやって僕達はお互いの身体を慈しむように擦り続けた。
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