第5章 それは「今」と「過去」と「未来」の物語
数年後、俺とは結婚した。
結婚式には及川も来ていた。
どうやらが呼んだらしい。
「やっと素直になったんだね」
俺の前に及川は来てそう言った。
だけどいつもの憎たらしい顔はしていない。
穏やかで本当に俺達の式を祝福している顔だった。
「手離したらぶっ飛ばすから」
「もうそんなことしない。俺は俺の"答え"を見つけたから」
「そ、ならいいけど」
少しだけ及川は拗ねたような顔になる。
だけどそれは一瞬のことで、次には笑って
「俺もサイコーの恋人見つけて見せびらかすから。だから倖せになれよ、絶対に」
俺はその言葉に「あたりまえ」と答えた。
一緒に手をつないで
うれしいことや悲しいことを繰り返して
そうやって歳を重ねていく。
そうやって生きていく。
と共に、これからも。
fin.