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△ Campus Life

第19章 △ Campus Life


翌朝、私は自然と目が覚めた。
目覚ましがなる前にアラームを止め、携帯をチェックする。



『放課後、時間くれ。』



翔君からの短いライン。
私はそれに「わかった、湖にいるね。」と返事をして支度を始める。
事前にラインが入っているということは、今朝は起こしに来ないということ。
偶然ではあったものの、自力で早起きできたことにホッとしつつ、そんな暢気なことを考えている自分におかしくもなった。

いつもより少し早く支度を終え、いつもより少し早く登校し、いつもよりだいぶ余裕のある心持で授業を受けた。
いつもと微妙に違う今日は、いつもと違う「何か」が起きることを予感しているみたいだった。



「小雨、今日はテラスで食べませんか?」



昼休み。
いつもどおり学食で合流したニノ君。
でもニノ君の提案はいつもと違っていた。



「うん、いいよ。」



私は別段変に思わず、生徒もまばらなテラスの席についた。
私はコンビニで買ったサンドイッチ。
ニノ君は購買で買った焼そばパン。
包みを剥がして2人同時にパンを頬張る。
先にパンを飲み込んだニノ君が口を開いた。



「昨日ね、翔さんと話したんです。」
「…え?」
「交際報告したんでしょ?」
「うん…した。」



私は2口目を口に入れようとして、ニノ君の言葉でブレーキが掛かった。
私はそのまま、サンドイッチを持つ手を下げる。



「翔さん、その後すぐ俺のこと呼び出したみたいで。
まぁ、やっと諸々の説明ができて良かったんですけどね。」



ニノ君はなんでもないことのようにサラッと言うと、2口目を頬張り始めた。



「そっか…。え、と…なんか、言ってた…?」



昨日、私は翔君に「向き合って」と言って帰った。
その後すぐにニノ君と話したということは、その決心がついたということだと思う。
そんな彼が、ニノ君とどんな会話をしたのか、私はすごく気になっていた。



「そんなに気になります?」



ニノ君は目線だけこちらにチラと向けた。



「あ、いや…」



私は思わず前のめりになっているのに気付いて、椅子の背もたれに寄りかかった。
俯いて手元のサンドイッチを訳もなく見つめてみると、ふいに頬に体温を感じた。
ニノ君の手が、私の頬を包んでいる。
その手に誘導されるように、私はニノ君の方に顔を上げた。
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