第12章 Date
私はニノ君から目が離せなくなって、でもそんなニノ君だけは私と同じ速度で動いている。
ニノ君は私の横を通り抜け、再び左手を出してきた。
「次行くよ、小雨。」
名前を呼ばれて、私は急にハッとした。
頭がボーっとする感覚に取り付かれていたのも吹っ飛ぶくらい、急に現実に呼び戻されたみたいだ。
「な、名前…」
「その方が雰囲気出るでしょ?」
ニノ君はまた悪戯に笑った。
今日はずっと心臓がドキドキしていて、もしかしたら私は明日には死んでしまうのかもしれない、なんてしょうもないことを考えた。