第5章 Drunkard
「ねぇねぇ~ニノ君~?」
「なんですか。」
「翔ちゃんってしゃ~、わたひのことぉ、どう思ってるかにゃ~?」
「翔さん?」
私はその時すごく酔っ払っていたから、ニノ君の向こうに座っていた翔君は見えてなかったみたい。
ニノ君はチラッと翔君に目配せしてたけど、翔君は静かにビールを飲むだけで、気配を消してるみたいにしてたみたい。
「翔さんねー、でもこの前はただの幼馴染だって言ってたじゃないですか。」
「じぇったいにそんなことあるわけないんだもーん!」
「なんでですか…。」
私はニノ君に泣きそうな顔で縋りつく。
ニノ君は迷惑そうにしてたけど、ふりほどいたりはしなかった。
「幼稚園の時にね?約束したんだもーん!結婚しゅるーって言って!」
「んははっ!幼稚園…ね~。」
にやにや顔のニノ君が翔君の方を見ると、翔君は顔を真っ赤にしてビールを一気飲みしてた、らしい。
「でもねでもね!高校の時にね、友達に『お前らちゅきあってんのか~?』って聞かれて、翔ちゃん何て言ったと思う~!?」
「ただの幼馴染。」
「しょうなの~!!わぁぁん!!」
もう私はニノ君の膝の上で声を大にして泣き始めてしまった。
その後はよく覚えてないけど、「ひどいー!」とか「約束したのにー!」とか、そんなことを叫びながら泣いて、気が付いたら寝てたみたい。
私の意識が回復したのは家のベッドの上。
しっかり掛け布団までかけられてるところを見るに、翔君が運んできてくれたのだろう…。
お酒を一口飲んだ後、私、どうなっちゃってたんだろう…。