第4章 Shock
脳内の自分に突っ込みを入れる私と、ニノ君に突っ込みを入れる翔君。
ニノ君は涼しげな顔で頷いた。
「えーっと、ほら、駅前のでっかい酒屋。あれ、家です。」
なんと、ニノ君はお坊ちゃまだった。
駅前の二宮酒店。
まさかこの目の前の二宮さんの実家だったとは…。
「なるほどね…それでお金持ちなわけだ…。」
「ま、家を継ぐ気はないんで自分でバイトしてますけど。」
アッサリとそう告げたニノ君は、まだ驚いて口が開いている翔君を一瞥してまた笑った。
「あ、そうだ。家の酒持ち出し放題ですし、お花見でも行きますか?」
思い出したようにニノ君が提案してくる。
私たち、未成年なんだけどな…ニノ君、慣れてる感じだし、しょっちゅうそういう飲み会、やってるんだろうな…。
「お酒飲むかどうかは別として、お花見はいいね!ね、翔君!」
「あ、あぁ…そうだな!」
やっとこちらの世界に戻ってきた翔君は、私の声に反射的に頷いたようだった。
「あ、でも3人でいいの?ニノ君、彼女さんは?」
「友達と彼女は別でしょ。デートでお花見するのでご心配なく。」
「あーそうですかー。」
ニノ君は悪びれもなく言ってのけたので、私は異性として見られていないことが女子として悔しくなってしまい、口を尖らせた。
なんだかんだ、お花見は私たちの家とニノ君の家の中間あたりにある大きな公園でやることになった。
ニノ君が穴場を教えてくれるというので、私たちはそのお礼にレジャーシートやお菓子を用意して持っていく係りを引き受けた。