第1章 Memory
「おおきくなったら翔ちゃんとけっこんするー!」
「ぼくも!おおきくなったらあめをおよめさんにするー!」
幼稚園のブランコで交わした、無邪気な約束。
「翔ちゃーん!一緒にかーえろ!」
「かえろー!あめ、すぐころんじゃうから、おててつなごー!」
小学校の帰り道、毎日繋いだ小さな手と手。
「小雨ー、教科書貸してー。」
「なっ、翔ちゃん、今、名前…!」
「中学生にもなってあめは可愛すぎだろ?」
中学校の廊下、初めて呼ばれた下の名前。
「え?俺ら?ないない!付き合ってないって!ただの幼馴染!な、小雨?」
「う、うん!ありえないってー!コイツと付き合うなんてさー!」
高校の教室、ざわついて止まらなかった胸。
そして今年、私たちは大学生になった。