第23章 目覚め
あの時…
ずっと、私の話なんて聞いてくれなかったくせに…
気にも留めてくれなかったくせに…
一人っきりで、立ち尽くすばかりだった…
…
結局…変わらねーじゃねぇか…
一人きりで、聴こうとする人なんているわけもない…
ずっと、そうして過ごし続けてきた…
聴いて欲しかったって気持ちは…
確かに、あったんだ…
でも、そんな人いるわけないから…
押さえ込んで、押さえ込んで…殺すしかなかったんだ……
できたとしても、それは変わらなくて…
そんな気持ちを、人に味あわせること自体が嫌だし…
話せなくなる苦しみが、本当によく解るから…
真正面から、向き合ってくれる人が欲しかった…
ちゃんと、自分のことを見てくれる人が欲しかった…
それでも、その人は…
自分のことなんて、二の次以降ぐらいにしか感じてなくて…
それが、少し苦しかった…
ああ、また耐え続けないといけないのかって…(うつむく)
それから、解放されることなんて…
一瞬さえも、なかったから…
たとえ話をしていて、楽しい話題でも…
どう入ればいいのか解らない…
聴いてくれる人もいない…
聴いてきて、知ろうとする人もいない…
助けてくれる人なんて…
誰も、いるはずがない…
そして気付けば…
一人じゃなくても、一人であることを感じるようになった…
そして…
それが、辛いことなんだと知った…
身をもって…
最初から一人きりだった…
その方が、期待も何もなくて…
だから楽な方だったんだって、後になってから解った…
苦しくて辛いはずなのに…
誰にも助けを求めたくなんてなくって…
自我を失う最後に、思ったのは…
恵土「っ;…何でも、聴いてくれるの?;
苦しい思いをさせるよ?;絶対嫌な想いだって;;」
相手に、そんな思いを…
今まで味わってきたような、苦しみや痛みを味あわせたくなんかないっていう…
純粋な気持ちだった
(涙を流しながら思う恵土…
それを、優し気な眼で見つめるドロロ…
その中、晴れ間は拡がっていく…
ちゃんと、向き合って知ろうとしてくれている…
理解しようとしてくれているという、確かな実感と共に…)