第11章 記録.11
「破棄のこと、おじさんとおばさんには伝えたの」
「うん、いちおう。パパもママも好きにしたらいいよって言ってくれた」
「七瀬さんには言った?あした、来るんじゃない?」
「まだ...」
七瀬さんだけには言いにくい。
なぜなら七瀬さんは、結婚式の話まで進めているから。
早とちり過ぎだとは思うが、その反面、破棄することに納得はしなさそうだ。
そのことを、夏芽もわかってる。
だからなかなか言えないのだろう。
「明日には言うつもりよ」
「無理だったら、おじさんに伝えてもらってもいいと思うよ。僕が頼むから」
それでも夏芽は小さな声で"うん"としか言わなかった。