第6章 記録.6
「痩せてますわ。それに、ずっとここに居ますでしょ?良ければ、家へいらして下さいな」
彼女は夏芽と言った。
白い肌は、あまり外へ出られないからだ。
細い腕、彼女こそ痩せている。
「うるさい。いい人ぶるなよ」
信用、その言葉には敏感だった。
どうせ捨てられるなら、死んだほうがマシ。
僕は彼女から差し伸べられた手を叩き、拒否した。
「良いから。」
でも彼女はしつこく手を差し伸べる。
「....分かったよ」
お嬢様に何がわかる。
何不自由なく暮らしてたんだろ。
そんな偏見さえ持っていた僕は知った。