第3章 春 はじまり
「だ、団長……!」
「おかしいなぁ……。俺はお前らに前から言ってたよなぁ………『喧嘩はしても決闘はするな』ってよぉ…………」
凄まじい殺気を揺らめかせながら、固まったままの2人にゼロが一歩、また一歩と近づいて行く。
そして、武器を手に固まったままだった2人は―
示し合わせた様に、脱兎のごとく逃げ出した。
「……待て、コラぁぁぁ!!!」
不意をつかれたゼロは、先程自分で2人の間に投げた、地面に突き刺さったままだった刀を引き抜くと、それを鞘に納める事なく2人を追い始めた。
「手前ら覚悟は出来てんだろうなぁぁぁ!!!」
「うわぁぁぁまじですんませんッしたぁぁぁ!!!」
「サーセンもうしません許して下さいぃぃぃ!!!」
「うるせぇ手前ら逃げんなぁぁぁぁぁ!!!!!」
ぎゃあぎゃあ騒ぎながら追いかけっこ(?)をする3人を見ながら、
「………地獄の鬼ごっこだ」
アッシュがそんな事を呟いた。