第3章 春 はじまり
「そういえば、エリーシャさんは?」
「……さっき風に吹かれて飛んで行った」
「あー……、成程」
リンネとアッシュがそんな会話を続ける中、いよいよリトとロウが戦いを始めようとした次の瞬間―
背後から飛来した何かが、2人の間の地面に突き刺さった。
「「!?」」
突然の出来事に驚いた2人がその"何か"を理解すると同時に、リンネ達の背後から恐ろしいほどの殺気が揺らめいていた。
そしてそこで見たのは、
「…………何してんだ?手前ら」
地獄の底から聞こえてくるような低い声と、
「「……!!」」
極限まで無表情になった、彼等の組織の長がとんでもない殺気を纏っている姿だった。