第1章 隠れた狂気
次の日、ボーッと机に頬杖を付いて窓の外を見つめる。
ガヤガヤと煩い。
朝から騒がしいな…。
朝に弱い俺はテンションが低い。
眠い。
本気で眠い。
授業中に寝る自信があるぞ。
寝ないけど。
「ふぁ、ぁぁ…」
小さく欠伸をして目を擦る。
そんな時、こんな会話が耳に入ってきた。
「聞いた?隣のクラスの男子が病院送りになったんだって」
「うん。階段から落とされたらしいよ」
「犯人は2年の先輩らしいけど、誰なんだろう」
「怖いよね…というか、これで何人目なんだろ」
またそんな事があったのか。
この頃変な事件が霧崎第一高校内で起こっている。
生徒が誰かに階段から突き落とされたり、
下校中に道路に突き飛ばされて車に轢かれたり、
歩道橋の階段から落とされたりして病院送りにされるらしい。
犯人は霧崎第一高校2年の先輩。
でも、名前までは分からない。
なんでこんな事をするのか、理由もはっきりしてない。
ホント、誰なんだろ。
「……」
病院送りとか、酷いことするなぁ。
俺は絶対されたくない。
というか、
犯人が意外と身近な人だったりして。
なんてな。
それより…、
花宮先輩だけは病院送りにされたくない。
というかバスケ部メンバーは。
先輩だけど大切な仲間が病院送りにされるとか、マジギレする自信がある。
花宮先輩は好きな人だし。
「犯人、早く見つかればいいな」
「琴美、だよな。犯人、早く見つかれば良いよな」
「あ、宮迫君。そうだね」
宮迫はクラスメートの中でも一番仲が良かったりする。
「今月5人目。ったく、誰がこんな事…」
眉を寄せて呟く宮迫。
宮迫も結構なイケメンだ。
しかも、友達も多いし女子からの人気も高い。
そんな宮迫が何故俺と仲良くしてくれるのか分からない。
まぁ、どんなにイケメンでも俺は花宮先輩一筋。
なんて考えながら欠伸をする。
「琴美、相変わらず眠そうだな」
「あはは、朝は苦手なんだ」
そんな会話をしていると、不意にどこからか視線を感じた。
妙な視線。
どこからの視線かも分からない。
辺りを見回すが誰も俺を見ていない。
宮迫は不思議そうに俺を見ているが。
「どうした?」
「う、ううん。なんでもない」
まぁ、気のせいだろう。