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続きのシンデレラ

第6章 Spark 【Type M】


どう考えてもメイドを辞めた方が、嵐の仕事はスムーズ。
でも未だにそれができないのは、潤君の言う「理屈じゃない何か」があるんだ。



「メイドって仕事がどれほどいいモンなのか、俺らにはわかんないからさ。
でも、それほど小雨が揺らぐってことは、いい職場なんだろうね。」
「そう…だね。」



潤君は今度は頭の後ろで手を組んで、どこか空を見つめていた。
私は膝の上で拳を握り、本当に悩んでいた。
ここ数日、メイドを辞めるか辞めないか、本気で1人悩んでいた。



「まぁ、でも。」



潤君がふと私の方に視線を投げる。
自然と潤君と目が合う。
いつの間にか入っていたトンネルのせいで顔が暗い。
でも、ほんのり外から漏れるオレンジのライトが潤君の整った顔をちらり、ちらりと明るくして、私は潤君に引き込まれそう…。



「小雨が決めたことなら、間違いないと思うから。自分で決めな。」



ぼけっと潤君を見ていたのが分かってしまったのか、潤君は私のおでこをツンとつついた。
外に出た明るさもあいまって、私はおでこを押さえてハッとした。
一瞬何の話かわからなくなったが、すぐに記憶が繋がる。



「あ、う、うん。そうだね。考えてみる。」



潤君は私の返事を聞くと、また携帯チェックに戻ってしまった。
私は未来を想像してみた。

メイドを辞めたら、今よりもっと嵐との時間が増える。
見惚れるほどカッコいい人が…近くにいる時間が、増える。
大丈夫か?それで私は何の感情も抱かずにいられるのか?
仲間意識で押さえる自信は、ある。
でも、長時間一緒にいるのは、私にはまだ早い…気がする。



「何?じっと見て。」



無意識に潤君を見つめていたらしい。
私は思いっきり潤君に顔を近づけられ、至近距離で合った視線に火花を感じた。
バチッと燃えて、熱くなる感覚。



「な、なんでもないっ!」
「そう?」



潤君は面白く無さそうにまた携帯に戻る。
その瞬間、私はまだ、理屈も何も関係無しにメイドを辞められないことを悟ったのでした。
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