第2章 再会
朝のタイムセールで買い物をし、帰っていた時の事だった。
あれ?
持っていた荷物を抱え直し、彼の後ろまで駆け寄った。
『陣内くん?』
「え?」
『やっぱり!』
「?」
『覚えててくれたんだ!』
嬉しそうに微笑んだ。この二人、高校の同級生で3年間クラスが一緒だった。
が、空手部のエースになって学校中の人気者になっていたが理一は、何一つ変わらず一緒にいてくれた。
しかし、高校を卒業すると同時には有名な体育大学に
そして、理一も自衛隊に入り会う機会がなかった。
「地元に戻ってたのか」
『そう、この近くで空手道場開いてるんだ』
「あれ?日本代表…」
『あぁ、あれね。辞退したの』
大学での空手の成績もピカイチだったは、すぐに日本代表としてオリンピックに出る事が決まった。初めてのオリンピックは、4位。メダルこそ逃したが、まだ十分にオリンピックに出られる年だ。だが、それを辞退したとなると何かがあったのかと思わずにはいられなかった。
「何か、その…」
『まぁ…色々、ね』
と、歯切れの悪い返事をした。
「…そうか」
『…うん』
話しかけたのはなのに、何故か話が途切れて気まずくなってしまった。
「『あの!!』」
「どうぞ」
『いや、陣内くんから』
「レディーファーストだよ」
そう言ってニッコリと笑ってを見た。少し照れて赤い顔を下に向けて、じゃあ…と続けた。
『まだ、自衛隊にいるの?』
「そうだね。でも、今日はおばあちゃんの誕生日会なんだ」
『おばあちゃん?陣内くんの?』
「そ。今年で79歳になるんだけど元気だよ」
嬉しそうに話す理一に、は自然と口元が緩んだ。
『そうなんだ。いいなぁ、誕生日かぁ。もう誕生日を祝う年でもないけど、お祝いなんてしてないなぁ』
と、梅雨明けして蒸し暑くなった夏の空を見上げた。
「よかったら、一緒にどうかな?」
『?』
「誕生日会」
『…そう言えば、陣内くんの家って由緒正しいって言ってたよね?もしかして…大家族?』
「まぁ、親戚一同がくるから」
えぇ!?、と驚いて少し後退りしてしまった。
『そ、そんな、家族の行事に他人が参加しちゃダメでしょ!?』
理一よりも、が慌ててしまった。