第8章 サッカー大会と歩美の恋
新 「やべーな・・・」
新一はロッカーを出てシャワー室の扉の前の目立たない所にいた。スパイクを脱ぎ左足のテーピングを外していた。その聞きなれた声が聞こえた。
哀 「もう無理なんじゃない?」
新 「哀・・・」
志 「やっぱりそういう事なのね」
新 「志保まで・・・」
哀 「ほらちょっと見せてみなさいよ」
哀は新一の足元に座り込んで新一の左足を見た。
志 「哀どう?」
哀 「そうね・・・昨日よりはいいけど、でも試合するような状態ではないわね」
新 「俺は出るぞ」
哀 「無理よこんな足で試合なんて。それに・・・」
志 「無理よ哀、新一が一度言い出したら」
哀 「志保・・・」
志 「本当は哀もわかってるんでしょ?」
哀 「わかっているわよ、この人の無鉄砲さは」
新 「お前達・・・」
哀 「足出して、その足では後半戦えないわよ」
こうして哀は新一の左足のテーピングを始めた。その後ろで3人に見えないように歩美が隠れていた。
歩 (新一・・・足を・・・私気づかなかったマネージャーなのに・・・哀も志保も気づいていたのに私は・・・)
哀 「これで少しはましに動けるわよ」
新 「サンキュー哀。ぜってー勝つからな。それと歩美には絶対言うなよ」
新一はスパイクを履きロッカーへ戻ろうとした。
志 「新一」
その時、志保は新一を呼びとめ頬にキスをした。
新 「な・・・」
哀 「なにを・・・」
志 「おまじないよ。哀のおまじないは効いて私ので負けたなんて許さないからね」
哀 「志保・・・///」
新 「志保・・・これで余計に負けられないな。じゃ応援してくれよな」
そう言って新一はロッカーに戻って行った。歩美はその姿を見て先にロッカーへ戻っていく。
元 「おせーぞ新一もう後半はじまるぞ。どこ行ってたんだよ?」
新 「わりーな。ちょっとな」
元 「さぁ逆転だ~いくぞ」
一同 「おぉ~」
みんなロッカーを出ようとする。その時、歩美が新一を呼び止めた。その姿を光彦は見ていた。
元 「いくぞ光彦」
光 「えぇ・・・」
歩 「新一・・・」
新 「歩美?」
歩 「新一、あの・・・」
新 「絶対勝つから心配すんな」
そういって新一はピッチに戻っていった。
歩 (ケガの事言えなかった・・・)
こうして後半が始まった。