第12章 最悪の事件・・・
志 「えっ」
哀 「とりあえず、後ろを見ないで、少し歩くスピードを上げるわよ」
志 「えぇ、わかったわ」
そう言って哀と志保は歩くスピードを少し上げた。しかし後ろの男もスピードを上げて追ってくる。食材等いつもより買い込みすぎたせいで哀はいつも以上に体力を使っていた。
志 「哀、少し持つよ」
哀 「これくらい平気よ」
哀は両手に下げた買い物袋を握りなおした、とその時、
哀 「きゃ~」
志保との会話に注意をそがれて男がほんの近くまで来ている事に気づかなかった。
志 「哀!」
哀は男から左手を握られていた。
哀 「なにするのよ、話して」
哀は男に抵抗しようとするが、男の腕力にかなうはずも無かった。
志 「なにしてんよあんた、哀から手を離しなさいよ」
志保は男に向かって詰め寄った。しかし、その男は身長が180くらいある大型の男で、志保はどうする事も出来なかった。
男 「お前はおとなしくしていろ、さもないと・・・」
男は懐からナイフをチラット見せて志保を脅す。
志 「誰か~」
しかし、その男は哀の腕をひっぱて自分の方へ哀を引き寄せた。そして別の手で口をふさいだ。
哀 「んんん」
哀の手から買い物袋が落ちた。
志 「哀!誰か~」
志保は助けを呼ぼうと大声をあげた。しかし運悪く誰も近くにいなかった。志保は目も前で哀が男にさらわれようとしているのにどうする事も出来ないでいた。男は志保に一括にらみをきかせてその場から離れようとする。志保はどうする事も出来ないままただ立ちすくんでいた。
志 「誰か~~」
志保の声がむなしく響き渡った。と、その時
??? 「ちょっとそこの人、こんな中学生さらってどうするつもりや?」
志保の後ろから声が聞こえてきた。その声のする方に男も、志保も振り返った。そこには帽子をかぶった少し色黒の男が立っていた。
哀 「んんん(服部君)」
哀はそこにいるのが服部平次と言う事が分かっていた。しかし志保はまだ服部とは面識がなく誰かわかっていなかった。
志 「助けてください、哀がさらわれそうに、それにナイフを持っているし」
平 「任しとき、ちょっとそこどいてくれるか?和葉そのちっさいねーちゃん頼むで」
そう言って平次は志保を自分の後ろに行くように指示し男と向かい合った。