【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情
第3章 試される……
映画が始まってしばらく経ったころ。
「こういうの嫌だったか?」
耳元ではじめくんの声がした。
「う、ううん、大丈夫……好きだよ、なんで?」
「だっておまえさっきから全然見てないし」
「みてるよ」
「みてないだろ」
「……みてる」
「怖いなら怖いって正直に言え」
だって、はじめくんの好きなミステリーとアクションが混ざった映画だって聞いてたのに、結構ホラーめいた描写が多い。
「こ、怖くないし」
「ずっと目隠ししてんだろ」
「なんで知ってるの……」
飽きれた口調に恥ずかしさが込み上げる。
「あ、ヤバいんじゃねぇ?」
「何が……ひぃっ!!」
いきなり画面に気持ち悪いシーンのドアップ。
おもわず顔を背けたら、はじめくんの肩に額がコンと当たった。
「……」
「……ご、ごめん……」
「別に。恐けりゃ、そのままにしてろ。大丈夫な場面になったら教えてやるから」
「……う、うん……」
身体中がぼわんと熱くなる。
ドキドキする。
ざわざわする。
まずい。はじめくんに心臓の音、聞かれる………
好きだってこと……バレる……
結局、映画の中身はよく頭に入ってこなかった。
後半はミステリーでホラーじゃなかったけど、そんなことよりはじめくんのことが気になって画面に集中できなかった。