• テキストサイズ

【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情

第3章 試される……



待ち合わせの映画館の前に着いたとき、スマホが震えた。

『悪い。5分遅れる』

はじめくんは律儀で、1分でも遅れそうなときは連絡をくれる。

巨大ショッピングセンターの中の映画館。

先にチケットを買って広告を眺めてると、ダッシュで長身が駆けてきた。

「悪いっ!」

「そんな急がなくても大丈夫だよ」

「学校出たとこでちょっと面倒くさいのに捕まって……」

チケットを渡すと、「サンキュ」とお財布を出す。

「いいよ、今日は」

「は? ダメだろ」

「だって……」

「だってじゃない」

有無を言わさない声。ちょっと怖い。

はじめくんは、私がお財布出すのを嫌がる。

自分は、いっつも出してくれるのに。

そのくせ自分は、

「なんか食うか?」

といろいろ買ってくれる。

なんか、まるで私をまだ幼稚園児だと思ってるみたいに。

お互いに飲み物を手に中に入ると、中は月曜なのに結構人が座ってた。

青葉城西高校の男子バレーボール部は、月曜日は練習がない。

だから、はじめくんと放課後会うのは毎週月曜日。

もう何度目かの、月曜日。

最初は、スタバで何時間も話をした。

次の月曜は、本屋さんに行った。

その次は、スポーツ用品店。

先週は、ペットショップ。

会うたびに、はじめくんのことが好きになる。

また転勤で宮城に戻ると聞かされたとき、一番最初にはじめくんのことが頭に浮かんだ。

小さい時から頼りになる男の子だった。

いじめられて泣いてると、絶対かばってくれた。

「頼りになるお兄さん」から「好きな人」

自分でもびっくりするぐらい突然、恋に落ちた。

事故にあったみたいに。

たぶん、10年ぶりに体育館で再会したときから……



/ 23ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp