【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情
第3章 試される……
最寄駅まで並んで歩く。
本当はもう少し一緒にいたいけど、明日も学校があるから遅くまでは遊べない。
「なんか月曜ばっかつきあわせて悪い」
こっちの気持ちを読んだみたいに言われて、ぶんぶん首をふる。
「そんなことない。こっちこそせっかく部活がお休みの日に、ごめんね……」
「別に謝ることじゃないだろ。俺が誘ってんだし」
「でも……」
「俺の方が付き合ってもらってる感じだし」
スポーツ用品店はサポーターを買いに行った。
ペットショップは岩泉家で飼ってるネコの餌を買いにいった。
でも、はじめくんが連れてってくれることが嬉しい。
いろいろ共有してくれることが、ちょっとだけはじめくんに近づけてる気がして、嬉しい。
「はじめくんは、私なんかと一緒で大丈夫なの?」
「あ?」
「あ、ご、ごめん、でも唯一放課後お休みの日に、他になにか、……誰か……」
「は? いねえよ、そんなの」
本当に?
「つか、そういうこと言うな」
「え、あ、う、うん、ごめん……」
「あやまんな」
ほら、行くぞ、と急かされて、少し速足になる。
駅がもっと遠ければいいのに。
はじめくん、私のことどう思ってる……?
前を歩く広い背中に心の中で訊いてみる。
また来週月曜日、こうやって会えるかな……
「そういえば、おまえ、うちが出してる参考書、もう買ったか?」
「参考書って、あの学校で出してる専用のやつ?」
青葉城西は、スポーツも強いけど、勉強にも力を入れていて、県内でも結構有数の進学校。
だからか、学校独自が生徒用に出版している参考書が各教科にある。
その存在知ったのはまだ先週のことで、注文してない。
「まだだけど……?」
「俺のでよかったら使うか? 2年のときのやつ、結構きれいに残ってるから」
「いいの?」
「もう俺は使わないし、あれ結構全教科買うと高いからな」
「ありがとう」
「こっちも家にあってもしょうがないしな。今度学校に持ってくるから」
「うん」
よかった……、また会う口実ができた。
はじめくんとの、些細なつながりが、ずっと続きますように……