【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情
第1章 金田一勇太郎の観察
「それってどういう意味だ? 自分が好きな子と、自分を好きな子と何が違うんだ?」
「……」
「なんだよ、その目」
「別に……金田一にこういうこと説明してもムダだって思い出しただけ」
「……?」
なんだ、国見。
教えてくれたっていいのに。
「あ、あれ岩泉さんじゃん」
国見の視線の方向を見る。
歩く先、公園の入り口から岩泉さんが出てきた。
「あ」
「ほら、やっぱり」
その後ろに、女の子がいた。
同じ制服。
「なんだ、ウチの子じゃん」
「うそ……だれ!?」
「知るかよ、そんなの」
長いストレートの髪が外灯の光でつやっと光ってる。
「ちょっと綺麗系?」
国見は興味なさそうに言うと、「こっちから帰ろう」と横道に入る。
「このままいったら、岩泉さん俺らがいることに気づくだろ、きっと」
そっとしておけ、ということらしい。
意外に国見はこういうとき、気が利く。
「やっぱ知られたくないのかな」
「さあ」
ほわっとあくびした国見の横顔を見ながら、さっきちらっと見た岩泉さんの顔を思い出した。
笑ってもない。
怒ってもない。
でも、すごく大切なものを扱うときのような、なんとも言えないかっこいい顔。
「あ、雨降ってきた」
速足になった国見の背中を追いながら、これから岩泉さん、どこにいくんだろうなどと、自分には全く関係ないことを考えた。
でも、彼女いいなぁ……
これまで一度も彼女いたことないから、俺も欲しい……
あんな彼女……いいなあ……