【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情
第1章 金田一勇太郎の観察
「あ、あの岩泉さん、スパイクのタイミングちょっと見てもらってもいいですか」
「……」
あれ、聞こえなかったか?
「あの、岩泉さん、スパイクの、……」
「わあっ!」
今泉さんが飛び退った。
……え?
慌てて持ってたスマホをタオルの間にしまっている。
「な、な、なんだ、金田一」
「あの、だからスパイクのタイミングを……」
「あ、ああ、わかった」
……岩泉さんが、おかしい……
休憩中とはいえ、練習中に携帯を見てることなんてない人だったのに。
練習後、とっぷり日が暮れた中、国見と並んで帰る。
「なんか岩泉さん、変じゃないか?」
やっぱり気になる。
横を歩く表情の薄いチームメートに訊いてみると、
「変って?」
「練習中に携帯みてたり、なんかいつもと違うだろ……今だって速効帰ったし。いつもなら及川さんのサーブ練習付き合ったりすんのに」
「彼女でもできたんじゃないの?」
「え……」
「携帯見て、速効帰って、ってもう彼女しかないじゃん」
え……いやいや、まさか……
「岩泉さん、結構モテるのにこれまでコクられても全部断ってたみたいだし」
「うそ、だろ……」
いや、でもたしかに岩泉さんは何気に人気がある。
及川さんがキラキラしてるから、その陰にかくれて目立たないけど、男から見てもかっこいい頼りになる先輩だ。
あの京谷さんでさえ、岩泉さんには服従してるし。
いや、でも……
「なにその納得いかなそうな顔」
「いや、別に……てか、じゃあなんで、今になって、って思って……」
「別に、自分が好きな子が出来ただけじゃない?」
そんな難しく考えなくても……と、国見は呆れた顔をする。
自分が好きな子……?