【ハイキュー‼︎】【オムニバス】 岩泉一の恋愛事情
第7章 悩まされる……
背中に回されたはじめくんの腕にきゅっと力がこもるのがわかる。
「部活前にスマホ見る時間なくて、メッセージに気が付いたのがさっきで……今日は部活終わるの遅くて……マジで悪かった」
「私こそ、ごめんなさい、部活あるの知ってたんだけど、どうしても訊きたいことがあって……直接会って訊きたかったから」
「なんだ?」
長い腕から解放される。
面と向かって訊かれて、ちょっとためらう自分がいる。
今まで、付き合った人いる?
その人、どんな人?
その人と…、エッチした?
こんなこと訊いたら、また怒られる? てか、飽きられる?
「なんだよ」
「…あの、はじめく、……」
「岩ちゃん、やっぱりいたんじゃん」
「……!」
いきなり割って入ってきた声に振り向くと、及川さんがいた。
にこにこしながら間合いをつめるようにこっちに来る。
「スマホ見ていきなりダッシュで帰るから、あれって思ったんだけど……ビンゴだね」
「てめ、あとなんかつけてくるんじゃねぇよ!」
「やだなぁ、そんなかっこ悪いことするわけないじゃん、俺が」
「つけてこなきゃわっかんねぇだろうが」
「違うって。金田一達が話してたんだよ、前にもここで岩ちゃんが女の子と出てくるのみかけたって……てか、岩ちゃんかなり噂になってるよ」
「あぁ?」
「最近、付き合い悪いから、彼女できたんだろって……隠してもバレるって、岩ちゃん普段女っ気まるでいんだからさ」
「うるせぇ!」
「てか、紹介してよ」
「断る」
ずいっと一歩前に出て、私を背中側に隠したはじめくんが、及川さんを睨みつけた。
「え、なんでさ!?」
「なんででも、だ」
「俺と岩ちゃんの仲じゃん!」
「そんな仲、ねぇよ!」
「減るもんじゃなし」
「減る!」
「ケチ!」
「知るか」
なんだか子供の会話みたいで笑えた。
可笑しくてちょっと笑うと、
「ねえ、君、岩ちゃんの彼女だよね?」