• テキストサイズ

奇跡のシンデレラ

第5章 運命共同体のシンデレラ


出番の曲になり、昨日と同じように曲に合わせてゆっくり歩いて出て行く。
メンバーは私の姿が見えると、少しホッとした顔をしているようだった。



そして曲が終わり、MCへ。
昨日と同じ流れで自己紹介をして、フリートークとなる。



「いやー、ビックリしたね!」
「間に合わないかと思った!」



和君の切り出しから、翔君がそれに乗っかる。



「俺もビックリした。」



自分でも笑っちゃうくらいのできごとだった。
ついさっきの事件を思い出して、率直な意見を述べた。



「いや、実はさ、こいつさっき来たんですよ。」



潤君が親指で私を示す。
すると、会場全体がどよめきだした。



「ちょっと、俺が寝坊したみたいな言い方やめてよ。」



潤君の手をバシッと払いながら突っ込む。
すると、翔君が事情を説明するために間に入った。



「はいはい、説明しますね~。
前の仕事がね、小雨だけだったんだけど、押しちゃったみたいで、ね?」
「そうなんですよ~。それでギリギリに着いて。2曲前だったかな?うん。」
「デビュー2日目にこれってなかなかのレジェンドだよね。」



翔君が笑いながら肩に手を回した。
他のメンバーも笑いながら寄ってくる。



「やっぱね、嵐くらい有名なとこに飛び入りするにはそのぐらいのレジェンドでないと。」



和君が頭をポンポンと叩きながら笑って言った。



「ちょっ、またそうやってからかう!」
「いや~、年が一番下なせいなのかな~、からかいたくなっちゃうんだよね!」



和君はそうやってずーっと頭を叩き続けた。



和やかなMCが終わり、再びダンスが続くセットリストに戻る。
暗転の直前、雅君がこっちを見ているのが分かった。
私は軽く頷いて呼吸を整える。



昨日の二の舞にならないよう、落ち着いてフリを思い出しながら踊る。
ファンのみんなは「カッコいい嵐」を見たいパートだ。
モデルの時のように、頭の先から足の先までカッコよさを意識する。
今日は、大丈夫。



さらしを巻いたままでラストまで完走できた。
昨日より今日の私、そして、今日より明日の私。
このコンサートツアーで大きく成長できそうな気がする。
/ 39ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp