第4章 王子になったシンデレラ
カッコいい曲調。
私は曲に合わせてゆっくりと歩きながらみんなと合流し、智君とダブルセンターで踊り始める。
すごい歓声。
光の波。
女の子達の持つうちわの中には、小雨の文字もあった。
本当に、嵐になったんだ。
曲が終わり、MCへと入る。
「HEY HEY~!それでは改めまして、俺達が新しい嵐で~す!」
翔君が煽り、ファンはみんな歓声を上げる。
横一列に並んだ私達は手を取り合ってお辞儀をした。
「じゃあさ、とりあえず自己紹介してもらおうか?」
「だね、だね。」
今度は潤君が提案をして、翔君が頷く。
私はそれを受けて一歩前へ。
「はい、じゃあ…新しくメンバーになりました!気象小雨です!よろしくお願いしまーす!」
女の子の黄色い歓声。
メンバーも思い思いの声を上げる。
「知ってます?皆さん。小雨君の評判。」
歓声が収まった頃、和君が喋りだした。
「もちろん聞いてますよ~。」
ニュースキャスターもやっている翔君は、「当然」という風に頷いた。
和君はニヤリとして智君を見る。
「結構報道されてたからね、わかるよね?リーダー?」
「うぇ!?俺!?」
智君は腕を組みながら天を仰ぎ、うなりだした。
「う~んと、ほら~、あの~…」
「ぶっぶー。時間切れです。櫻井さん、どうぞ。」
智君が「なんだよ~!」と和君にどつく。
和君はあしらいながら翔君に振った。
「小雨君の評判でしょ?まずは、カッコいい。」
「おぉ~。」
「それから、ミステリアス。」
「へぇ~!」
「最後は中性的。」
「ん~…なるほど!」
智君は全てに相槌を打っていた。
会場全体も同じように頷いている。
「カッコいいとか中性的、は見ればわかることだけど、俺ってミステリアスなの?」
「ミステリアスっていうか、ミステリーなんじゃない?」
「どういうこと?え?」
翔君の突っ込みに、思わず私は聞き返す。
「だからさ、俺らは小雨とリハとか練習とかで一緒だったけど、テレビには会見から出てないじゃん?」
「あ~。」
「だから、存在自体がだいぶミステリー。」
「なるほど。」
自分で自分のことに納得してしまった。